この裏側で何が起きているのか
動画の再生前に流れる広告。あの数秒の裏側では、あなたがローディングを意識するより速く、広告枠の競り(オークション)が完結しています。上のアニメーションはその流れを単純化したものです。
登場人物は 3 種類だけ覚えれば十分です。
- プレイヤー(SDK) — 動画を再生しているアプリやブラウザ。広告枠の時間になると広告リクエストを投げる
- SSP / アドエクスチェンジ — 媒体側の広告枠を売る側。広告リクエストを受けて、オークションを開催する
- DSP — 広告主側の入札する側。ターゲティング条件や予算に基づいて「この枠にいくら払うか」を瞬時に判断する
OpenRTB — オークションの共通言語
SSP と DSP の間のやり取りは、IAB Tech Lab が策定する OpenRTB という仕様で標準化されています。bid request にはデバイス情報・広告枠のサイズや形式・フロアプライス(最低落札価格)などが載り、DSP はこれを見て入札額を返します。
重要なのは時間制限です。DSP に与えられる猶予はおおむね 100ms 前後。間に合わなかった入札は、どんなに高値でも無効になります。広告の世界では、速度がそのまま売上に直結します。
セカンドプライスオークション
このデモではセカンドプライス方式(2 位の入札額 + 1 円を支払う)を採用しています。勝者が自分の入札額そのままを払わないのは不思議に見えますが、この仕組みには「正直に自分の評価額を入札するのが最適戦略になる」という理論的な性質があります。
なお、近年の RTB 市場はファーストプライス方式(入札額をそのまま支払う)への移行が進んでいます。どちらの方式かによって DSP 側の入札戦略は大きく変わります。
落札後 — VAST とトラッキング
オークションで決まるのは「どの広告を流すか」まで。実際の動画クリエイティブの再生指示は VAST という XML 仕様でプレイヤーに渡されます。VAST には動画ファイルの場所だけでなく、いつ・どの計測イベントを発火させるかも記述されています。
- インプレッション — 広告が表示された
- クォータイル — 25% / 50% / 75% / 100% まで再生された
- クリック — 広告がタップされた
「広告は本当に効いているのか」という問いは、まずこのイベントたちを正しく数えるところから始まります。